大人のための再学習:なぜ地球の中はタマゴのようになっているのか?(地球の構造の基礎)
地球の中身はどうなっているのでしょう?
私たちの足元にある地球は、一体どんな構造になっているのでしょうか。普段、地面の上で生活している私たちにとって、地球の内部は直接見ることができない未知の世界です。まるで固い殻に覆われた大きなタマゴのように、地球の中もいくつかの層に分かれています。
この層状構造を知ることは、地震や火山、あるいは大陸がゆっくり動く仕組みなどを理解する上で、非常に大切な基礎となります。今回は、地球がどのように「タマゴ」のような構造になったのか、そしてそれぞれの層がどのような性質を持っているのか、やさしく見ていきましょう。
地球の「タマゴ」構造:核、マントル、地殻
地球の内部は、大きく分けて3つの層でできています。外側から順に、「地殻(ちかく)」、「マントル」、「核(かく)」です。これは、まさにゆで卵の殻、白身、黄身に例えることができます。
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地殻(ちかく): これは地球の最も外側の、薄い岩石の層です。私たちが立っている地面や、海の底にある岩盤がこれにあたります。ゆで卵の「殻」に例えられるように、地球全体の体積から見ると非常に薄い層です。厚さは場所によって異なり、大陸の下では厚く、海の底では薄くなっています。
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マントル: 地殻の下に広がる分厚い層がマントルです。地球全体の体積の大部分(約8割)を占めています。ゆで卵の「白身」にあたります。マントルは主にケイ酸塩鉱物と呼ばれる岩石でできていますが、その性質は少し特殊です。非常に長い時間をかければ、ゆっくりとですが流動(動く)性質を持っていると考えられています。このマントルの動きが、大陸移動や地震、火山の活動の大きな原因の一つとなっています。
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核(かく): 地球の中心にあるのが核です。ゆで卵の「黄身」にあたります。核は主に鉄やニッケルといった重い金属でできています。さらに核は、「外核(がいかく)」と「内核(ないかく)」の二重構造になっています。外核は液体の金属ですが、内核は非常に高い圧力のために固体の金属になっていると考えられています。地球の磁場は、この液体の外核がダイナミックに動くことによって生まれていると言われています。
なぜ層ができたのでしょう?
では、なぜ地球はこのような層状の構造になったのでしょうか。これは、地球が誕生したばかりの頃にさかのぼります。
今から約46億年前に地球が生まれたとき、最初は熱いドロドロの物質の集まりでした。その中で、重い物質(主に鉄やニッケル)は中心部へと沈んでいき、軽い物質(主にケイ酸塩鉱物)は外側へと集まりました。例えるなら、泥水の中で砂が沈み、泥が上にたまるようなものです。
長い時間をかけて、この重力による分離が進み、中心に重い金属の「核」、その周りに比較的軽い岩石の「マントル」、そして一番外側に最も軽い岩石の「地殻」という層が形成されたと考えられています。
地球内部の探求
私たちは地球の内部を直接掘り進んで確かめることは、現在の技術ではほとんどできません。しかし、地震が起きたときに伝わる「地震波」を分析することで、地球内部の構造や物質の性質を推測することができます。地震波は、伝わる物質の密度や固さによって速度が変わるため、世界中の地震計で観測された波を詳しく調べることで、「地球のタマゴ」の層の境界やそれぞれの層の状態を知ることができるのです。
地球の内部構造を理解することは、私たちが暮らす地表で起こる様々な現象を解き明かす鍵となります。地震や火山、大陸の移動といったダイナミックな地球の活動は、この見えない内部の営みと深く結びついているのです。
まとめ
私たちの足元にある地球は、タマゴのように「地殻」「マントル」「核」という層でできています。これは、地球ができたばかりの頃に重い物質が中心に沈んだことでできた構造です。この層状構造を知ることは、地球で起こる様々な自然現象を理解するための大切な一歩となります。目には見えない地球の内部ですが、そのダイナミックな活動は私たちの生活と無関係ではありません。
今回お話しした地球の構造は、今後の「リブートサイエンス」の記事で、地震や火山、プレートテクトニクスといったテーマを学ぶ上での基礎となります。ぜひ、この機会に地球のタマゴ構造について、知識を整理していただけたら幸いです。