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大人のための再学習:なぜ天気は変わるのか?(気象の基礎)

Tags: 気象, 天気, 気圧, 風, 雲

なぜ、私たちの周りの天気はいつも変わるのでしょうか?

「今日は晴れ予報なのに、午後から雨が降り出した」「数日前まで暖かかったのに、急に寒くなった」。

私たちは日々、天気の変化を肌で感じながら生活しています。天気予報も、毎日のようにチェックされている情報の一つではないでしょうか。

でも、そもそもなぜ、この地球上で天気は同じ状態が続かず、常に移り変わっていくのでしょうか?

大人の視点で、気象の基礎の基礎、天気が変わる基本的な仕組みを一緒に見ていきましょう。

天気変化の「元」は空気の動き

地球を厚く取り巻く「大気」は、目には見えませんが、常に動いています。この大気の動きこそが、天気変化の大きな原因の一つです。

では、なぜ大気は動くのでしょうか?

一番の理由は、「場所によって温まり方が違う」ことです。太陽の光は、地球全体に均一に降り注いでいるわけではありません。緯度によって違いますし、陸地と海、山と平野でも温まり方は異なります。

温められた空気は軽くなって上昇し、冷たい空気は重くなって下降します。この空気の「上昇」や「下降」が、地面付近の空気の量に違いを生み出します。

空気の量が多いところでは「気圧が高い」、少ないところでは「気圧が低い」と言います。空気は、気圧の高いところから低いところへ移動する性質があります。これが「風」です。

つまり、太陽の光が場所によって違う温まり方をする ↓ 空気の上昇・下降が起こる ↓ 気圧の高いところと低いところが生まれる ↓ 気圧差をなくそうとして空気が移動する(風が吹く)

このように、風は、天気が変わる上で非常に重要な役割を担っています。

気圧と天気の関係:高気圧と低気圧

天気予報で「高気圧に覆われて晴れ」「低気圧が接近し雨」といった言葉をよく耳にするかと思います。

高気圧や低気圧は、常に場所を移動しています。これらの塊が私たちの地域を通過することで、天気が晴れから曇りへ、あるいは雨へと変わっていくのです。

雲と雨、そして前線

天気の変化には「水蒸気」も大きく関わっています。地上の水が蒸発して空気中に含まれる水蒸気は、上昇して冷やされると小さな水滴や氷の粒になり、集まって「雲」を作ります。

雲の中の水滴や氷の粒がさらに成長して、重力に逆らえなくなると、地上に落ちてきます。これが「雨」や「雪」です。

また、天気変化を語る上で欠かせないのが「前線」です。前線は、性質の違う空気の塊(「気団」と呼びます)がぶつかり合う境界線です。例えば、温かい空気と冷たい空気がぶつかると、それぞれの場所で特有の雲ができたり、雨が降ったりします。

これらの前線が日本列島を通過していくことで、広い範囲で天気がガラッと変わります。

天気予報の進化と私たちの暮らし

私たちが当たり前のように天気予報を見られるようになったのは、気象学の研究が進み、観測技術が飛躍的に向上したからです。

気象衛星、気象レーダー、地上の観測点など、様々な手段で集められた大気のデータは、スーパーコンピューターによる複雑な計算(数値予報)によって、未来の天気の予測に使われています。

天気は、私たちの衣食住の全てに関わる、非常に身近な自然現象です。農業、漁業、交通、レジャー、災害対策など、天気予報は社会のあらゆる場面で活用されています。

定年後の新しい趣味として、あるいは日々の暮らしの中で、「なぜ今日はこんな天気なのだろう?」と空を見上げながら、気象の仕組みに思いを馳せてみるのも面白いかもしれません。

まとめ

私たちの周りの天気が常に変化するのは、主に以下の要因が複雑に絡み合っているからです。

これらの基本的な要素が組み合わさることで、日々様々な天気が生まれています。

今回ご紹介したのは、ほんのさわりですが、少しでも天気への興味を持っていただけたなら幸いです。空を見上げるのが、少しだけ楽しくなるかもしれませんね。